『ソーシャルアート 障害のある人とアートで社会を変える』たんぽぽの家 編/学芸出版社

障害のある人と、周囲でケアに携わる人々、芸術家・研究者たちが実践してきたソーシャルアートの25のレポート。表現においては障害や年齢はひとつの個性になる。一人ひとりの感じ方を認められ、表現者としての能力を発揮していくうちに、誰も気づかなかった新しい価値観や、交流と協力の自然な形が生み出されていく。

『丸刈りにされた女たち 「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅』藤森 晶子 著/岩波書店

第二次世界大戦下、ドイツの占領から解放されたフランスで、ドイツ兵の恋人だったフランス人女性たちに対し、見せしめとして丸刈りにするという制裁行為が行われた。日本人留学生の著者が戦争の犠牲になったそんな女性たちに実際に会い、当時の状況やその後の人生について話を聞き綴った記録の一冊。

『子ども食堂をつくろう! 人がつながる地域の居場所づくり』滝岡 幸子 著/同文舘出版

子どもの貧困対策だけでなく、地域の居場所づくりとして全国で広まりつつある「子ども食堂」を、立ち上げから運営方法までQ&A方式で紹介する。先輩こども食堂の体験談も多数。 「誰かがやってくれる社会」から「自分たちでできることを始められる社会」へ、「子ども食堂」のあり方を通して考えるきっかけになる。

『復興に女性たちの声を 「3.11」とジェンダー』村田晶子 編著 早稲田大学出版部

災害による被害には、女性ゆえに被る被害がある。直接の被害に加え、性暴力やDVなどの危険が増し、さらに家事・育児・介護といった固定的性別役割分担をいっそう強いられるなど、平時の女性問題が多重の困難をもたらす。女性をエンパワーする復興支援とは何か、「震災後に考える」シリーズの1冊。日本の震災復興におけるジェンダーのレポートである。

『介護離職しない、させない』和氣美枝 著 毎日新聞出版

「家族や大事な人の介護が始まったら、仕事を辞めるしかない」親などの介護に直面するとそのことが最優先になり、他の選択肢が見えなくなって離職する人や、ついには人生までも諦めてしまう人もいる。仕事と両立させ、介護しながら働くことが当たり前の社会にしていくことを願う著者の、「介護は情報戦」との視点を学べる1冊。

『逃げたい娘 諦めない母』 朝倉真弓・信田さよ子 著 幻冬社

君島瑠衣33歳は、広告代理店でチームリーダーとして活躍する女性。しかし、プライベートでは娘を自分の思いどおりにしたい母親の過干渉に悩む「娘」であり、そんな母親の束縛から逃げられない弱い自分に自信が持てない。本書では架空の女性「君島瑠衣」の成長物語を通して、母と娘のいい距離感を作り直す方法を考える。

『本当は結婚したくないのだ症候群』 北条かや 著 青春出版社

結婚したい、したくない、しない・・・・・・結婚に対する距離感・意識はさまざまだ。結婚が必ずしも幸せを運んでくるわけではないし、しない方が幸福感を感じられる場合もある。一方で、友だちの幸せそうな話を聞くと、憧れを感じたりする。迷いのいっぱい詰まった独身女性たちを取材した著者が、「結婚したい」という願望の正体に迫る一冊。

『君たちはどう働くか』 今野晴貴 著 晧星社

ベストセラー『ブラック企業』の著者、今野晴貴(NPO法人POSSE代表)が、「どこでバイトをすればいいのか」「どこまでがんばるべきか」「働き出す前になにを知っておけばいいのか」、若い世代に向けて労働契約法などを通してわかりやすく解説する。大人が読んでも勉強になる。

『平成の家族と食』 品田知美 編 野田潤・畠山洋輔 著 晶文社

「あなたはきょう目覚めてからどんな食べ物を口にしただろうか」冒頭のこの言葉から、食について、家族について、どれほど意識を持って日々を過ごしているか、考えさせられる。膨大なデータから、それぞれの家族や健康や働き方に対する思いや食卓の姿、ひいては社会のありようが浮かんでくる。終章のタイトルのように「家族と食はどこへむかうのか」を考えたい。

『何がいいかなんて終わってみないとわかりません。』 ミゾイキクコ 著 KADOKAWA

81歳の著者がツイートを始めたのは2010年。戦争中の経験や人の生き方、男と女についての呟きは「戦争中に物心ついていたこと」「女性であること」が土台である。その呟きをまとめた本書は、名言の数々が温かく、人生の真実がたくさん詰まっている。心に迷いがある時にひも解けば、きっと人生の道しるべとなってくれる。

『社会の中で居場所をつくる』 東田直樹/山登敬之 著 ビッグイシュー日本

自閉症作家と精神科医による、雑誌掲載された往復書簡。「現在の診断そのものが、自閉症ではない人たちの常識を基準にしています。…(中略)…それは、本当に間違っていないのでしょうか」自閉症のイメージにとらわれることなく行き方を模索している“東田くん”の言葉の数々は、“山登先生”の自閉症観を覆していく。

『男が働かない、いいじゃないか!』 田中俊之 著 講談社

男性は定年退職までフルタイムで働き、結婚後は一家の大黒柱としての責任を負い、さらに弱音を吐いてはいけないと考える男性の思考に、弱音を吐かせない社会の仕組みが追い打ちをかける。女性学と男性学の共通の目的は、性別にとらわれない多様な生き方の実現、との視点から、男性特有の悩みに注目し、男性が働くことの意味を見つめ直す。