『なぜ女性管理職は少ないのか 女性の昇進を妨げる要因を考える』大沢 真知子 著

日本の女性管理職の割合は13.2%(2017年度)と低い。なぜ、なれない/なりたがらないのか。女性は結婚・出産などで、離職率が高いなどと言われているが、理由は必ずしもそうではない。さまざまな統計から導き出した結果と事例やインタビューなどを引用し、多様性が尊重される社会と、人口減少の日本にとっての女性管理職の必要性を説く。

『情報生産者になる』上野 千鶴子 著

情報生産者になるほうが、ただの情報消費者でいるよりもずっと面白い! 新たに有益な情報を生み出す「情報生産者」になるための過程を、具体例を交えながら丁寧に解説している。オリジナルな問いを立て、過去の研究に学び、一次データを収集し、それに分析を加え、アウトプットする、「情報生産者」を育てるガイドブック。

『放談 昭和を生きた女性作家たち』イルメラ・日地谷=キルシュネライト 著

ドイツ生まれで日本人を夫に持つ日本文学研究者の著者が、36年前当時すでに文壇で活躍していた14名の女性作家たちにインタビューをした貴重な記録。むしろ現代の日本人の関心を引くものではないか、と出版に至った。女性としての作家の仕事や文壇での立ち位置、評論家の目線、彼女たちの文学に対する真摯な姿勢が、当時の時代背景とともに窺える。

『チェンジ・ザ・ワールド! 世界を変えた14人の女性たち』スーザン・フッド 文/渋谷 弘子 訳

女性だからという社会の偏見に抵抗し、行動することで世界を動かした若い改革者を紹介。作者は、若い人たちに知ってほしい、と有名無名を問わずに14人を選んだ。各々のイラストは13人の女性画家により個性豊かに描かれている。

『本当の依存症の話をしよう ラットパークと薬物戦争』スチュアート・マクミラン 漫画/松本 俊彦、小原 圭司 監訳・解説文

人はなぜ何かに依存するのか、薬物の影響と禁止法の影響との違いは何か、2つの漫画で読者に問いかける。本書後半は、精神科医の松本・小原両氏が、依存症に陥りやすい環境や、回復における「人」への支援の重要性などを解説する。

『パレードへようこそ』 マシュー・ウォーチャス監督

スト中の炭鉱夫たちと、それを支援するレズビアン&ゲイの仲間たち。境遇を越えた友情の力が、偏見や蔑視に立ち向かう。小さな力は大きく膨らみ伝説のパレードとなった。80年代の名曲が満載、観た後で心にポッと火が灯る感動の実話。

『しゃべり尽くそう!私たちの新フェミニズム』望月 衣塑子/伊藤 詩織/三浦 まり/平井 美津子/猿田 佐世 著 著

東京新聞記者の望月衣塑子が4人の女性と、性暴力、ジェンダー平等、「慰安婦」問題、外交についてトークを交わす。フェミニズムという言葉に抵抗があるひとにも、現代社会のジェンダーギャップについて多面的に考えさせ、また中学生の教科書の一部に歴史上の政治家ではなく「現職の政治家の演説」が掲載されるなどの違和感についても考えさせる。

『オトナの保健室 セックスと格闘する女たち』朝日新聞「女子組」取材班 著

朝日新聞夕刊の企画を再編集、「セックス」「不倫」「女性の性意識」「セクハラに対して」の各章で、性に関する問題を扱う。核となる読者の投稿のほか、酒井順子氏と村山由佳氏の対談、著名人のインタビューや寄稿、漫画もあり気軽によめる。なぜ自分は「性」をこんなふうに受け止めるのか? 悩んでいるひとは必読。田房永子の表紙も手に取りやすい!

『カサンドラのお母さんの悩みを解決する本 発達障害の夫に振り回されないために』宮尾 益知 監修

カサンドラとは発達障害の夫やパートナーへの葛藤から抱く不安感、孤独感、無力感などにより女性が陥りやすい不安定な精神状態。大人になってから発達障害の診断が出るケースも増えたので、振り回されているかも? と思ったら「夫の行動チェック❶~❿」を。特性の基礎知識や対応法などイラストによる解説が分かりやすく、家族みんなの参考になる。

『なんで私が適応障害!? 暗闇の中で光を見つけた私。』乃樹愛 著

作者自身が適応障害の当事者であるコミックエッセイ。経験したからこそ伝えられる苦しさや辛さ、そして、病気を理解してくれる人の大切さを、思いのほかさらりとマンガで表現している。心理士による解説のページも参考になる。

『その魔球に、まだ名はない』エレン・クレイジス 著

最近まで知られていなかった女子野球には150年以上の歴史がある。1957 年、魔球を操る天才少女はリトルリーグの選抜試験に合格しながら、入団を拒絶される。なぜどうして?と埋もれていた歴史を調べながら、生き方をも学んでいく。

『女を修理する男』ティエリー・ミシェル監督 2015年(ベルギー)

コンゴ東部ブカブのパンジ病院では、紛争下における大勢の性暴力被害女性たちが苦しみ横たわる。病院の設立者で、2018年のノーベル平和賞受賞のデニ・ムクウェゲ医師は人間の苦悩は、時や場所や人種にかかわらず共通と訴える。