『今日から始まるナラティヴ・セラピー 希望をひらく対人援助』坂本 真佐哉 著

自分が正しいと信じていることで、誰かを責めてしまう経験は誰にでもある。けれど、現実や真実は唯一のものではなく、拠り所とする立場によって物事の見え方は変わってくる。その捉え直しから見えてくる新たなストーリーを構成する実践がナラティブ・セラピーである。会話や対話によって解決の糸口を探っていく“楽になる”対人援助のあり方を学ぶ。

『なぜ、それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法』伊藤 和子 著

弁護士で国際NGO活動をする著者は、#MeToo運動が「盛り上がっていない」と伝える日本のメディアに世界との落差を痛感した。同意のない性行為を犯罪として厳しく罰する国が増える一方、日本の刑法の性犯罪規定は被害者に厳しく加害者に寛大なままである、と事例を挙げて、諸外国から取り残されている現状を掘り下げる。声を上げ始めた女性たちに前に進む勇気を与える一冊。

『生きるための図書館 一人ひとりのために』竹内 悊 著

子どもが学校に行くのがつらいとき、高齢者が前向きに過ごすために、また、災害記録の収集場所として、本を一人ひとりに提供し、居場所として利用者に寄り添う図書館。本を集めて貸すだけではない役割や、専門性を持つ職員の異動などで知識と蓄積が活用されなくなる危惧を伝える、60年図書館に携わってきた著者から未来へ、遺したい言葉。

『人見絹枝 日本人初の女性オリンピック選手』大野 益弘 文/ しちみ 楼 絵

「女性が足を出して走るなんてもってのほか」の時代に、新聞記者をしながら、1928年アムステルダム・オリンピックでメダルを獲得した人見絹枝。24年の短い人生を陸上競技に捧げた、日本女性アスリートの先駆者。

『ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。』もちぎ 著

ツイッターのフォロワー数48万人の「もちぎ」が、ディープな内容をほのぼのと描いた、ゲイ風俗コミックエッセイ。暖かくて、泣けて、笑える「もちぎ」節から、明日はすこし強くなる、そんな力をもらえる。

『ドリーム 』 セオドア・メルフィ 監督

NASAの研究所で働く3人の優秀な黒人女性を中心に、それぞれの立場で夢を追う姿を、実話をもとに描く。人種、性別の壁を乗り越えて、自らの力でキャリアアップしていく様子が、観るものの心を躍らせる。

『その子の「普通」は普通じゃない 貧困の連鎖を断ち切るために』富井 真紀 著

貧困ゆえに教育を受ける機会を与えられず、低学歴ゆえに低収入の仕事にしか就けない。家族を持ち親となっても、その子どももまた、学ぶ機会どころか十分な愛情さえ与えられず、苦労の中でもがきながらおとなになる。そんな負の連鎖から抜け出し、支援する側へ。著者がたどった人生を綴り、宮崎で立ち上げたNPO法人の事業を紹介する。

『彼女が大工になった理由(わけ)』ニナ・マクローリン 著

30代に近づき天職だと思っていた仕事に疑問を持つ中で、著者は「大工見習い、女性の応募を待つ」という求人広告を見つけ大工見習となる。信頼できる師匠の元、自分とは?人生とは?と問いながら仕事に励み、失敗しては再挑戦し、よいものを作ろうとする自分に満足を感じる。新たな自分を見つけたい人へのヒントになる一冊。

『明るい不登校 創造性は「学校」外でひらく』奥地 圭子 著

著者は1985年、子どもの不登校から、居場所としてフリースクール「東京シューレ」を開設し、現在理事長を務める。その後も日本で年々不登校が増したことは、子どもたちと学校制度の間のミスマッチと、それを生じさせている社会の問題なのだ、と断じる。不登校の子どもたちの、周りの大人に読んでほしい本。

『女と男のちがいって?』プランテルグループ 文/ルシ・グティエレス 絵

女と男のちがいはからだのつくりだけ。なのになぜ、ぜんぜんちがうと思われているのだろう。「~らしさ」から脱するために一番いいのは教育の改革。この社会の明日を作っていく私たちが、シニカルな絵と一緒に考えてみるための絵本 。

『はじめてフィンランド ~白夜と極夜 ひとり旅~』トナカイフサコ 著

夏は白夜の首都ヘルシンキ、冬にはオーロラを目指して陽の昇らない極夜のラップランドへひとり旅。日本人には馴染みの薄い北欧の食や暮らし、自然と文化を紹介する。懇親の場・サウナやサンタクロースとの会話などリアルな体験記。

『未来を花束にして』サラ・ガヴロン監督

政治に参加する権利、職業選択の自由…。今では当たり前のことが、かつて男性だけのものだった。100年前のイギリスの平凡な主婦が、あるきっかけから「女性の生き方」に疑問を持ち、目覚め、夢を勝ち取るために闘った真実の物語。