『お笑いジェンダー論』 瀬地山角 著 勁草書房
「お笑い」と銘打ち、ジェンダーを身近な話題から解説する本書は、誰にでも理解しやすい。著者はセックスワークの問題を解きほぐしつつ、専業主婦を優遇する税制・社会保障制度の見直しを提言する。男女共同参画は「女性の問題」ではなく、むしろ『男性の問題」であるとし、対等なパートナーシップを訴える。
『わたしはマララーー教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女』マララ・ユスフザイ、クリスティーナ・ラム著 学研パブリッシング
教育を受ける権利を訴えて、イスラム武装勢力に銃撃されたパキスタンの少女の手記。彼女は2014年、史上最年少でノーベル平和賞を受賞した。反タリバンの象徴ではなく、自ら学ぶことで、自分が居る場所に疑問をもち主張する、彼女の聡明さと行動力に感心する。両親の育て方にも学ぶ点が多い。
『子連れシングルと子どもたちーーひとり親家族で育つ子どもたちの生活実態』神原文子 著 明石書店
ひとり親家庭に私たちが抱いているイメージは正しいのだろうか? しなやかに逞しく生きている子どももいるが、経済的な理由で希望の進学をあきらめる子も少なくない。子連れシングルの子どもたちへのインタビューとアンケート調査は私たちの先入観を変え、本当に必要な支援を考え直す機会となる。
『ジェンダーとセクシュアリティ』大越愛子・倉橋耕平 著 昭和堂
現代社会におけるジェンダー、セクシュアリティの視点をてがかりに、ポストフェミニズムの諸問題に挑む若手研究者たちの意欲が伝わる。
『ジェンダーと言葉の教育』牛山恵 著 国土社
女の子がどうして生きづらいのか、著者はジェンダーの視点から言葉の教育に一因をみて、教科書・絵本を詳しく調査・研究する。
『世界の女の子白書』電通ギャルラボ 著 木楽舎
当たり前と思うことが生まれた国によってまったく違う。だから知ることがまず第一歩。そこから自分の住む世界のこれからも見えてくる。
『世界の女性問題①貧困、教育、保健』 関橋眞理 著 汐文社
世界中のジェンダー差別や不平等を子どもたちにも身近に感じてほしいという思いが伝わる。簡潔な説明と豊富な図版・データでわかりやすい。
『出会い系のシングルマザーたち』 鈴木大介 著 朝日新聞出版社
売春をするシングルマザー。彼女たちが抱えるのは経済的問題だけではなかった。生育環境・社会的孤立など幅広い問題を提起。
『高学歴女子の貧困』 大野奈穂子・栗田隆子・大野左紀子 著 光文社新書
能力的には決して男性に引けをとらないはずの高学歴女子。その前に立ちはだかる就労という大きな壁と深刻な実態を体験者が語る。
『無頼化した女たち』水無田気流著 亜紀書房
社会に蔓延する不安により女子の保守化が著しい。しかし専業主婦は絶滅危惧種になりつつあり、かといってカツマーになれるのは一部のエリート女子。ふつうに産めない、働けない女子は結果「やさぐれる(=無頼化)」。その原因は女子自身にあるのではなく、社会にあると本書は分析する。
『60歳からしておきたいこと』板東眞理子著 世界文化社
元気なうちの老前整理のすすめ。健康や長寿の秘訣はこころの柔軟性。そのための生活習慣や老い支度をわかりやすくアドバイスする。支援が必要になったら運命と受け入れて新しいステージを生き抜こうと説き、自身の親族の例からは「リビング・ウィル」作成を強く勧める。現代の「老活」「終活」を問い直す。
『悲しみを生きる力に 被害者遺族からあなたへ』入江杏著 岩波ジュニア新書
2000年12月に発生した「世田谷一家殺害事件」。未だに解決していないこの痛ましい事件で、著者は大切な妹一家を奪われた。その後も理不尽な悲しみに襲われ深く傷つく。自らの体験を語ることで悲しみと向き合い、それを生きる力に変えていった著者からの希望のメッセージ。